戦後の復興期から物質的繁栄を目標としてがむしゃらに発展を遂げてきた日本は、個人所得は世界で一、二を争うようになりましたが、上昇が急激であった分だけ反動は激しく、経済面ではそれまで考えられもしなかった金融機関の信用の失墜、株価の大暴落などが起こり、さらにその影響は個人生活や人々の人生観にも及んできました。ほんの十年ほど前はさほど関心をひかなかった「ゆとりある生活」「豊かな心」といった言葉が、現在ではしばしば人々の口にのぼっています。こうした社会と価値観の激しい転換が、新しい動きを生み出しました。それまで物質やエネルギーなどには関心のなかった人たちが、自分たちの生活は「大量生産、大量消費」であり、それは長続きするものではないと気づいたのです。そしてそうした人たちの間に、「持続性のある社会を築きたい」という思いが生まれたのです。この慌てふためいた転換の中で、切り札として登場してきたのがリサイクルでした。新しい価値観への転換を急いでいたので、私たちの将来を約束するという「目的」を達成するのにリサイクルが現実的に実施しうる「手段」であるか否かは、きちんとは検討されず、手段が素早く目的化し、さらには「循環型社会」の構築へと議論が進んでしまったのです。リサイクルはすでになじみのある言葉ですが、「循環型社会」というのは、まだそれほど一般的な用語にはなっていません。「循環」という言葉が示すように、これまでは人間が使ったものを自然が浄化して循環してきたけれど、これからは人間自体が物質やエネルギーを循環し、「持続性のある社会」を築こうというものです。