国民の大多数が運転免許証を取りつつある現在でも、交通事故が減らないという事態こそが交通行政の大きな欠陥だと言えないだろうか。それでも、国民の多くが教習所の門をくぐり、教習や試験を受け、運転免許を取りつづけているのである。だが、そうしてめでたく車社会へのパスポートを手にした彼らが、実際にはどんな運転をしているというのであろうか。幹線道路に出る際、路地から歩道を歩く通行人をさえぎる形で待機している車が多い。白線の待機場所にいれば、車の流れぱ十分、判断できるのに待つことができず、歩行者や自転車、果ては車に押しやられるように歩道帯との境界近くを走ってくるバイクの通行を平気で邪魔する原因は、高い塀や高層ビルが立ち並ぶ実際の道路事情を想定せずに、建前の教習を行っているからである。そうして事故が起きれば、ドライバーだけの責任が問われているのが、本当の交通行政と言えるだろうか。将来、センサー付きの車や高度な事故防止対策車が生まれていく可能性があるが、車を動かす人間の意思や使い方までは止められないだろう。高速道路でのスピード出し過ぎの事故による原因は、AT車と安全ベルトといわれている。AT車における高速の減速やエンジンブレーキへの移行など、もっとも大切なことをほとんど飛ばし気味に教習して、建前だけの道路交通法による技能教習や学科教習をしている以上、日本のモータリゼーションへの展望が暗くなるである。